お蔭

祖父が亡くなったのは、8年前の夏だった。
お葬式の時、祖父の甥に当たる人が、祖父のよく言っていたという言葉を教えてくれた。
「俺が俺がの”が”を捨てて、お蔭お蔭の”げ”で生きろ」
祖父を育てた長姉の口癖だった、とのこと。耳で聞いたものなので正しいかどうかわからない。たぶん、”が”は”我”でもあるんじゃないかな。

NHKの朝の番組に中村勘三郎さんが出ていらして、共演した女の人が(名前忘れちゃった・・・好きなのに・・・)「いつも、”生かされている”ことを忘れない人」というようなことを言っていた。
生かされている、神様に生かされている、そして、周りの人たちのお蔭で生かされている。

”我”を捨てるのは、難しい。私を取り囲んで、何も感じなくさせている”殻”、そして”角質”のようなもの。すこしずつ、ひょんな事で、消えかかっているような気がする。