しっとり。

サイドバーに「最新の画像」を追加したら、図らずも青系の写真ばかりであることに気付きました。暑いからね〜。無意識に、涼しい色を好んで眼にしていたのか。もうすぐ、我が家の朝顔がお目見えすることでしょう。


勉強・仕事以外のときは頭が常に歌舞伎座&鏡花モード。まずいとは思うのですけれど、暑さのせいという事に・・・。

『夜叉ヶ池』の始めの方で、村娘の百合が夫の晃に言われて、露を乗せた夕顔(朝顔ではないですけれど)に触れるシーンがあります。そこでのセリフが
ああ冷い。水の手にも涼しいほど、しっとり花が濡れましたよ。
暑いあつい毎日にほっとさせる、清涼感ある、場面。


先日この場面に行き着いたとき、「しっとり」という口調から、お芝居とは全く関係のないことを思い出しました。


学生時代、数年ほど学習塾で働いていました。教えるのにやっとで30人からの生徒を前に、一年目は笑う余裕もないくらい。そんな時、なんのきっかけだったのか、カントリーマアムというお菓子の話題になりました(授業中です!)。柔らかくて、私は好きなんだ、とかそんな事を話したのでしょうか。
すると、後ろのほうに座っていた男の子が、「オーブンで焼くとおいしいよ」と。ああ、からっとするのね、と返すと、「違う。”しっとり”してくるんだ」と。想像してください、その”しっとり”した言い方を。部活で真っ黒に焼けたその顔と、変声期を終えたばかりの不安定な声と、「しっとり」があまりにミスマッチで、私はつい笑ってしまったのです。
いわゆる、”ウケた”状態。生徒達は、主に男の子ですが、面白がって「しっとり」「しっとり」とそれは様々な”しっとり”した声音で私を笑わせ続けたのでした。これをきっかけに、ふっきれたというか。カントリーマアムを見ると、そして感情のこもった「しっとり」を聞くと。あの日の教室を思い出します。