Radiogenic リーディングスペクタクル『優雅な秘密』

radiogenic:音声で楽しむ、と、そういうことですね。朗読劇。


筋立てやお芝居に込められたメッセージについては他にも書いている方がいらっしゃるので、探してみてください。たとえばHineMosNotariさんのこちらとか。
確かにとても、メッセージ性の強いものだったと思います。けれどそれを言葉にしてここで再現するのは難しいことで、また、私の受け取ったものと他のお客様が感じた物とが同じだったとも限らない。さらに、それが舞台を作った皆様の伝えたいこととはまた違っているかもしれない。
そんなわけで、例によって私の五感(視覚がほとんどですが)が捉えた重箱の隅をつつくような出来事を書いておきます。

  • とっても座り良さそうな四角いソファがみっつ。どれに、どなたが座られるのかいろいろと想像してみました。開演の鐘の音(これは演出ではなく、会場のオリジナルかな?)。
  • ナビゲーターの古藤さんが、見かけは恐いけどとても、とても素敵な声。これで絵本の読み聞かせとかして欲しいな、と思う声。そして、優しくて畳み掛けるような話かた。「飛行機が高度を下げ、眼下には・・・」。そこには具体的な海岸線があるのだそうだけれど、私の目に映るのはもちろん、あの“夢に見る街”だ。
  • ソファに座るのは・・・

春猿さん:下手側のソファに腰掛け、右足を上に組む。爪先がすっと左側を向いていて、とても美しい。やってみたら、膝の上にちょっとだけ足を乗せるといいようです。音もしない、風も起こらない。ただ一言。
段治郎さん:少年のようで。ソファに身を預け、左足を上に組む。右の肘掛にもたれかかるような姿勢。相手の話に興味を持って、引き込まれていく姿勢。
右近さん:中央一段高いところへ。深く身を沈め、右足を上に組む。時折身を乗り出すように足を解く。

  • 蝉の声、夏の美術室。なんだか、現実の夏にふと返る。この、劇場の外を思い浮かべる。どちらかというと残暑、のイメージ。
  • 黒いスーツが体を硬く見せる。左肩の方に金色に光る何かが見える。あのデザイン、なんていうの? 肩の上とかに短いベルトのついているアーミーっぽいデザインに見えたのだけれど・・・。茶色く染めた髪がライトに光ります。きれ〜いにくし目の通った、これも隙のない髪型に感じられる。靴は、白? 裸足(靴下)のようにも見えた。
  • 物語に出てくる一つ一つのアイテムが私の中にある特別なエピソードとリンクして、私を焦らせる。そして、登場人物と一緒に驚いたり涙ぐんだりする。

ライカ犬
1968年?
緑の包みと黄色いリボン?
クリスマスツリーのびっくりプレゼント?

  • 電車の中というのは、未知との、未来との、そして過去との遭遇によく使われる場所なのだろうか?
  • ディーヴァ:想像していたより、ナチュラルでほっとした。曲も良い、声もとても良い。もうちょっと、だけ歌が上手だと良いのだけどな。
  • 時々、特に相手の長い台詞の時に、首を微かに右に傾げる。最初は演技かと思ってみていたが、どうやら癖のようでした。それが、とっても何かを伝えようとする瞬間のようで、引き込まれた。少し前の方に傾けることもある。また、違った表情があらわれる。そして時々、なんとも言えない優しい笑顔がこぼれる。たぶん意識されていないのだろうな。手の中にある台本の、セリフ、言葉のひとつひとつが大事、愛おしい、そんな顔で、七月にもずいぶんと私の心を揺さぶった表情だ。
  • このあたりから、春猿さんのマイクを通してつばを飲み込んだり咳払いをするような音が聞こえてくるようになり、心配した。音の上下が激しくないから聞きやすくて、うっとりしていたところだったから余計に。
  • 千住さんの曲はどこに使われているの? 初めて、劇中に音楽が流れていたことに気づいた。確かに前のストーリーでも流れてはいたけれど・・・まったく千住さんの曲とは意識させられなかった。びっくり。
  • ところどころ「大事な事を言っている、聞きたいな」と思うと心と視線が舞台に引き寄せられる。そうすると役者さんたちも顔を上げていて、「聞いて」と訴えてくる。だから、「聞いていますよ」と視線で応える。不思議だねぇ。
  • テグジュペリ、最期のエピソード。案内人と一緒に空を仰ぎ、エンジン音を聞き、落ちていく一機の飛行機を見る。
  • 春猿さんの階段の降り方、登り方には注目していた。一度目は特別な事は何もなかったが、ここではすっと足を後に蹴り上げたように見えた。打掛の裾を裁く足運びの癖かしら。
  • 千住明さんの姿をロビーでお見かけしたような・・・でも、若すぎるかも・・・。

もう少し大人になってから(今でももちろん、子どもではないけど)思い出して噛み締めたいな・・・。