おじいちゃんの宝箱

高尾山の麓に住む、祖母のところに遊びに行きました。


挨拶もそこそこに私が向かったのは、祖父の遺品がある屋根裏部屋・・・今日のお目当ては、スーパー歌舞伎八犬伝』のビデオでした。小さな頃、祖父と一緒に観たのだからここにあるはず、と思いましたが、見つからず。それでも、信じられないくらいの宝箱でした。

祖父は手足が不自由になってきていたので、晩年に近づくにつれ几帳面なメモ書きが乱れているのを見てふと悲しくなったりもしました。それでも、気が付いたら1時間以上、真夏の屋根裏で大量のビデオと格闘していました。


帰ってさっそく再生してみたのは「スーパー歌舞伎ヤマトタケル』の舞台裏」。猿之助さんがまだ丸い顔をしていらして、そのお顔で思わずぶるっと来るほどの表情をされるのに食事も忘れて見入っていました。

そんな中、楽しみながら見ていて、思わず「えっ」と声を上げてしまったのです。というのも、”この公演の注目は若手役者****の大抜擢”とのナレーションが入ったからです。。。もちろん、あの方です。慌てて祖父のメモを見返してみると、”61年2月”・・・あららら、『ヤマトタケル』はヤマトタケルでも、初演ではないですか! ちょうど20年前の番組が、信じられないほどきれいに残っていたのです。20年前なんて、私が何をしていたのか考えるのも笑ってしまう、というくらいの時間。驚きでした。


それならさっそく舞台を、と次は3時間以上に渡る『ヤマトタケル』を再生。適当に巻き戻してみていると、、、あれ? そこには、ちょうど今夜一世一代のライブを繰り広げていらっしゃるはずのあの方が。その横には、わ、わ、わ。。。私が見間違えるはずはない。61年(1986年)には舞台に上がっているかいないかであるはずのあの方*1が! 再び大慌てで、メモを確認。

こちらは平成8年、10年前に録画されたものでした。それと気付かずに、10年も隔たりをおいて録画されたビデオで、同じ演目を目にしてしまうとは・・・。


今は祖父への感謝と一種の感心、のようなものでひたすら興奮しています。祖父と、話がしたかったな・・・。祖父なら、この舞台をどんな風に観るのだろうな、と、よく考えます。晩年は足が悪かったから一緒に劇場に行くことはできなかったかもしれない。でも、筋書きや映像を一緒に見ることができれば、昔の役者さんや舞台の話も、たくさんしてくれただろうな。

人との別れは当然で、仕方のないものだとしても、今、祖父と話ができたらどんなに楽しかっただろうと思うと、なんとも言えない気持ちになりました。


<おまけ>
スーパー歌舞伎以外にもお宝ビデオはたくさん。猿之助さんのものも有ったのですが・・・。

・・・見えますか? おじいちゃま〜、これは変ですよ〜。”遠”之助さんじゃないですよ〜。

*1:お気づきのことと思いますが、ここまでの”あの方”は全て女方さんです。