秀山祭九月大歌舞伎 その1

用事が4時過ぎに済んだので、夜の部一演目のみ幕見に滑り込み・・・いいんでしょうか、こんな観方をしていて。

『菊畑』

チラシ裏を読んでも、開演前のイヤホンガイドを聞いても、お話がどうも頭に入ってこない。ここは、色彩と型を楽しむことにしよう、とのんびり構えたのでした。

  • 浅黄幕が出るとわくわくする。今日もそのわくわくを裏切らず、落とされるとそこは秋の庭。菊もさることながら、もみじと池と建物が美しい。奴たちの衣裳にも目を見張る。特に知恵内(幸四郎さん)の”黒地に金”・・・きんきらきん。
  • 菊といえば『菊慈童』か『菊花の誓』を思い浮かべる。どちらも観たことはないけれど・・・。その、むせ返るような(?)菊のイメージとはかなり違う。
  • 池に据えてある石のところどころに、苔を模したのだろうか、青や薄い緑に塗ってある物が見え、美しく感じた。ただでさえ普段より広くとってある舞台の奥行きが、背景の力でより広く見える。
  • 鬼一法眼に付く腰元は、そろいの衣裳で8人・・・だったかな? 壮観です。膝をついて座るのにも、人によって裾の割り方が違うのだな、と今さらながら興味深く見ていた。
  • 皆鶴姫(芝雀さん)の帯は手まり柄・・・と思ったけれど、もしかしたら菊かな? 小さい柄なのに派手で、良く映えていました。下に巻く・・・なんて言うのだろう、萌黄色の物も時々見えて、若い姫らしく可愛らしかった。
  • でもちょっと・・・衿をあんなに抜いていて良かったんでしょうか? 後ろを向くことが多かったので、気になってしまいました。
  • 幸四郎さん、鬼一法眼の左団次さん、虎蔵の染五郎さんとも、あまりセリフが聞き取れなかったのが残念。特に大御所(?)のお二人はずっと低い、きしむような声を使っていらしたのでほとんど声に聞こえなかった。。。湛海の歌六さんはその点、聞きなれたからか若めの悪役だからか、聞きやすくて楽でした。

<おまけ>
その1:歌舞伎座前の大野屋さんを覗いてみたら、見事に”播磨屋吉右衛門”の手ぬぐいが減っていました。
その2:幕見の廊下に、十月松竹座のポスターが貼ってありました。思わず「おお〜。」とか言って立ち止まってしまいました。
その3:松竹のお兄さんたちは、揃いで播磨屋の半被でした。なんだか、楽しかった。