誰も知らなかった

祖母が来た。珍しく、子どもの頃の戦争体験を話してくれた。北朝鮮のニュース、映像を見たからだっただろうか。
「考え方を全部押し付けられてね。なんだか判らないけど殴られるの、あれがすごくいやだったのよ。」

母が、訊いた。「広島の原爆の日宇和島にいた人が夕日みたいな空を見たって言っていたけれどおばあちゃんも火が見えたの?」
祖母は新居浜の出身だ。
「そんなもう、とんでもない。第一そんな爆弾が落ちるなんて知らなかったもの、学校にいたよ。あとから、たくさん人が死んだって聞いた。」

それはそうだ。誰があの日、原爆が落ちるのを待って広島の空を眺めていただろう。全て歴史、後からわかったことなのだ。