芸術祭十月大歌舞伎 その2(夜の部)

10月21日追記

『髪結新三』
幸四郎さんは失礼ながら、拝見しているといつのまにか眉間にしわを寄せていることに気付く演技が多く苦手だった。のだが、新三は観やすかった。適当な軽さと、悪さと、そして幸四郎さんのどこかひとつある重さ、そんな感じかな。大悪党ならぬ小悪党、ですかね。


筋を知ってはいても、予想以上に”おとこおとこ”したお芝居だと思った。いえ、もともと女形が魅力的で歌舞伎が好きになったようなものだから・・・。そんななかで、高麗蔵さんのお熊がものすごく花を添えているように見えた。残念ながら、大店の嫁入り前のお嬢さんにしては落ち着きすぎているのかも、、、いや、お姫様でもないし脇と言えば脇だからそんな演技なのかも、、、いろいろと、考えながら観ていた。
えらい失礼な物言いだけれど、お顔が端整すぎるというのもお役がやりにくかろうな、と勝手に思ってしまう。


駕籠かきのお一人は左次郎さん。稚魚の会・歌舞伎会の『三社祭り』ではずいぶん楽しそうに踊っていらして目を惹かれた。それが、このお役でも江戸っ子らしさをあらわすためか? えらくてきぱきした、踊りとも付かない動きをする面白い演技をされていた・・・というより、これがこの方のカラーなのだろうか。


鰹売りや捌きの場面が良かった・・・季節ものを季節はずれに掛けるのは、残酷といったら言い過ぎかしら。どうしても、鰹が食べたくなってしまうのだ。幸い戻り鰹に当たったけれど・・・。イヤホンガイドで「目には青葉・・・」の解説をふんふん、と聞いていたのだが、確かに上手にある手水鉢と緑が非常にさわやか。